ロードスターキャピタル:第三四半期決算発表
2021年10月29日に、ロードスターキャピタルの第三四半期決算が発表されました。
決算内容は、まずまずの内容でした。
売上高は下がりましたが、利益が前年比で大幅に伸びています。
通常小型グロース株は利益の伸びより売り上げの伸びが重視されるケースが多いですが、ここはそうではありません。重要度は①保有物件の価格②利益③売上の順となります。
ここのメイン事業はオフィスビルを安く仕入れて手直しして高く売る、と言うものです。保有物件を一度に売ってしまうと翌期に売るものが無くなってしまうので、毎年営業利益が前年比10~20%増になる程度に物件を売却する経営方針となっています。ですので今期のように営業利益は増えて売上高が減ったのは、高値で物件を売却できた証拠と言えます。
予算進捗率も非常に高いです。確実に見込利益は超えてくると思います。
先ほど記載したように、この会社は利益が右肩上がりとなるように意図して物件を売却しています。利益率も右肩上がりになっており、ここだけ見るとこの会社は超優良企業に見えます。
現金がかなり積みあがってきていますが、借入金も多いため多額の自社株買いは難しいように思います。
ビル転売業一本足打法の経営であることに変わりはありません。購入したビルの賃貸料が約14%のため、2つ合わせて97%です。会社のPERが低い原因の一つはこれだと考えています。今は不動産市況が活況なので利益出せているけど、今後もこの活況が続くとは限らないので。
クラウドファンディングは前期比40%増と頑張っています。しかしそれでも売上シェアが2.5%と圧倒的に少ないです。クラウドファンディングの年間手数料は組成したファンドの2%と低いので、クラウドファンディング単体で黒字化しているかどうかも怪しいです。
上記は、今は解散してしまったSBIソーシャルレンディングのPLです。売上32億で純利益は売上の約1割です。オーナーズブックの今期末売上は5億円程度と考えていますが、売上高に関わらずシステム構築費等の経費は一定と思いますので、オーナーズブック単体ではまだ赤字の可能性が高いと思っています。
今回の決算発表で良かった事
- 利益が高水準であり、4Qに小型物件3件を売却予定とのことで、上方修正の可能性が高いこと
- 今まで停滞していたアセットマネジメントで2件優先交渉権が得れたこと
- これまではビルのみ転売していたが、今後は物流施設、ホテルも対象に加えるとアナウンスされたこと
今回の決算発表で悪かった事
これまで毎年2~3割増加していた販売用不動産の帳簿価格が今時点でマイナスです。毎年2割成長を目指すなら、物件も2割積み上げる必要があります。高値で物件は売却できるが、物件が高すぎて仕入れられない状況に陥ってるように思えます。時価は500億円位あると思いますが、そうだとしても仕入れができなければあと3年弱で売る物件が無くなってしまいます。
「物件の購入は是々非々で判断する」と社長は言っていますが、一方「物件には先高感がある」とも言ってます。先高感があるのであれば、少しでも早い時期に物件を購入すべきと思います。経営陣も、それは重々承知と思いますが。。
その焦りが、こんなタクシーCM放送をさせてしまったのではと思います。
オーナーズブックの投資家は腐るほどいて、ファンドは販売したら即(数分)完売してしまう程の人気です。これ以上投資家を募っても「オーナーズブックの口座にお金振り込んでいるのに、全くファンドに投資できない」と不満を持つ投資家が増えるだけで、逆効果だと思います。
今必要なのは、借主ではなく貸主です。
またここの会社ホームページや決算説明資料で、97%の売上があるビル転売より3%にも満たないオーナーズブックを大々的に宣伝しているのは、経営陣がビル転売の将来性を悲観していることの表れなのでは、とも思ってしまいます。
最後に
ここが株価上がるとしたら、以下の2つだと思います。
①大量の物件仕入れ
②自社株買い
②は財務内容的に厳しそうなので、①を何とか頑張ってほしいです。