シグマクシス・決算発表(FY2021第一四半期) &役員報酬について
8月4日にシグマクシスが決算を発表しました。
早速内容を見てみましょう。
全体決算
ここだけ見ると、利益の伸びが凄まじく好決算に見えるかもしれません。
でもこれは、昨年同期の決算があまりにも悪かったのが原因で、実際にはネガティブ決算です。
これは通期見込の進捗率を見れば分かります。
売上進捗率は21.3%と若干悪い程度ですが、営業利益進捗率は15.2%とかなり悪いです。
損益計算書
今期の利益が増えた理由を損益計算書から見てみましょう。
去年は2,066Mだった原価が今期は売上が上がったにも関わらず1,995Mと逆に減ったのが利益増の原因です。理由として外注費減少と記載されています。今まで外注に投げていた仕事を社員が実行することで、外注費削減に繋げたと思います。売上増に伴う利益増であれば今後も期待できますが、外注費削減は削減にも限度があるので今後の伸びはあまり期待できないかもしれません。
貸借対照表
貸借対照表を見ますと、自己資本比率が大幅に改善されていることが分かります。原因は伊藤忠商事に対して実施した第三者割当増資で得た資金を手元資金確保と流動負債削減に使ったためです。固定費や研究費のかからないコンサル事業で負債が多いのは何故か不思議だったのですが、兎に角負債が減ったのはグッドポイントだと思います。
その他重要事項
シグマクシスは、今回上記ページを最も訴えたかったかと思います。売上は前期比1%と微増だが、主力の航空業以外のコンサルサービスにフォーカスすると12%も伸びている、よって今後も売り上げの伸びは期待できると言いたいのだと思います。
しかし私見では、コロナ禍の影響真っただ中の前年同期と比べてもあまり意味が無く、それより前期と比較した方が良いのではないかと思います。前期と比較すると、主力事業は若干減少しているように見えます。売上に至ってはかなり減っています。このグラフから今後の売上成長を見込むのは難しいのではと考えました。
役員報酬(有価証券報告書)
上場企業は年に一度有価証券報告書を公表する義務があります。この報告書はかなりページ数が多いのですが、中長期投資家であれば熟読すべき資料だと思います。
今回、この報告書で非常に問題となる箇所を発見しました。取締役平均年収が1.2億、社長と会長が各々2.4億、取締役全員で6億円も受け取っていると言う、私の常識では考えられない記載です。シグマクシスの昨年度の純利益は12.1億円です。純利益の半分が役員報酬とは、額が多すぎます。
ちなみに上記はダブルスタンダードです。役員平均報酬は2500万、合計7500万、昨年度純利益が7.5億円ですので、役員報酬はその10%となります。
上記はストライクです。役員平均年収6500万、合計2.6億円です。昨年度純利益が22億円ですので、純利益の11.8%が役員報酬となります。
最後はロードスターキャピタルです。役員平均年収2725万円、合計1.09億円です。昨年度純利益は27億円ですので、そのわずか4%が役員報酬です。
シグマクシスの役員、特に社長と会長は今の低利益でも十分すぎる報酬をもらっているので、今後も利益を伸ばそうとは思ってない可能性があります。それより、超保守的経営で赤字にならないようにして、今の報酬を今後ももらっていく方が良いと考えているかもしれません。今回決算があまり良くなかった要因もこれかもしれません。
株式売却
シグマクシスは決算発表の翌日10%を超す大暴落だったのですが、その際全額損切りしました。理由は①自分が思っていたほどビジネスが伸びていない事②今後伸びると思えるような要素があまり見当たらない事③経営陣が会社を私物化しているように見える事、があげられます。
持ち株全てで利益を出すのは非常に難しいです。私の師匠のバフェットでさえ、全ての株で利益を出せてはいません。
株価が大幅に下落した時に損切りが怖いからと言う理由だけで持ち続けるのではなく、その会社の株が現在の状況に照らし合わせて妥当かを冷静に判断し、妥当でないと思ったら即座に売却することが重要だと思います。
「含み損が無くなるまで売らない」と言うのはあまり良くない考え方だと思います。株を買ったら、幾らで買ったかなんて忘れましょう。常に現在の株価が妥当な株価かを分析し、乖離が発生したら売るのが良いと思います。
「今の株価が妥当かなんて判断つかない」と言う方はウィリアム・J・オニールが「オニールの成長株発掘法」で記載されている以下のルールを適用するのも良いかもしれません。
- 買値より7%下がったら、必ず損切りする
オニール曰く、「7%も下がったと言う事は購入当初の目論見が外れたと言う事。また100円の株が50%下がって50円になった場合、それを元の株価に戻すには50%上昇では無く100%上昇が必要となる。いったん下がった株価が元に戻るのは至難の業。多くの人は損切りができないために、一番重要な”株式市場に残り続ける”と言う事ができないでいる」とのことです。
因みに師匠のバフェットは「一度買ったら永久に持ち続けろ」と言ってますが、実はバフェットはそれなりの頻度で株の売買してます。。