個別株投資で利益を上げるには
前回「株式市場は効率的で即座に情報を取り込み、株価に反映させるので他人を出し抜くことはできない」「機関投資家は知能も資金も個人投資家より圧倒的に優位なので、同じ土俵で戦っても勝てない」と書きました。
なぜ、それでも僕は個別株投資にあえて挑戦するのか。
それは、プロの機関投資家の弱点を突く投資をすることで利益を上げることができると考えているからです。実際、この20年この方法で着々と利益を上げ続けてきました。
孫氏の「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と通じるものがありますね。
プロの機関投資家には、大きく2つの弱点があると思います。
プロの機関投資家の弱点①短期志向
機関投資家は、年々短期志向になってきています。それはなぜか。機関投資家は、お客様から預けれられた資金を使って運用をしています。お客様は短期で利益を求めることが多いため、機関投資家は短期で株価を上昇させて利益を上げないとお客様はそのファンドを次々に解約していってしまいます。
中には、「自分は長期投資の視点でファンドを選んでいる」と言う人もいるかもしれません。でも、そのような人にファンド選択の基準を聞くと「今年運用成績の良いファンド」と答えるケースが多いです。
「今年運用成績が良い」とは、短期で利益を上げているファンドです。そのファンドを組成している機関投資家は、血眼になって短期投資してますね。
これを更に掘り下げていくと、個人投資家が勝てる方法が見つかってくると思います。
「株式市場は効率的で即座に情報を取り込み、株価に反映させるので他人を出し抜くことはできない」と言うのは当たっていると思います。しかしこれには、但し書きがつくと個人的に思っています。
正確には「株式市場は効率的で即座に情報を取り込み、株価に反映させるので他人を出し抜くことはできない。但し、取りこんだ情報が長期的に正確とは限らない」です。
実際の例を上げましょう。
8953:日本都市ファンド投資法人(旧日本リテールファンド投資法人)のコロナショック時の株価の動きを解説します。
日本都市ファンド投資法人はREITと呼ばれる投資法人で、ビズネスモデルは銀座や六本木、表参道等ブランド価値の高い立地に商業施設を立て、賃料から収益を得ると言うものです。
※ここは今年オフィス系リートと合併したため今はビジネスモデルが変わっていますが、私が投資していた去年をベースに記載しています。
このREITは、コロナの影響で3月には直近高値の半分以下まで株価が暴落してしまいました。なぜここまで株価が暴落したのか。私はこれが短期志向のワナにはまって実態以上に株価が下がっているのではないか、逆に今は中長期投資にとって絶好のチャンスでは無いかと思い銘柄研究を行いました。
結果、以下が分かりました。
①コロナショックでも、不動産環境は健全である。
⇒他のREITで、物件売却益により賃料収入が入らない穴埋めをした所がありました。これはつまり、コロナでも物件を高値で売却できたと言う事です。
②コロナショックでも、金融環境は健全である。
⇒他のREITで、金融機関から数億円の長期資金を1%以下の低利で借り換えできていました。その中には賃料収入がほぼ入っていないホテル系REITも含まれます。
③コロナショックで商業施設は閉まってしまったが、家賃収入はこれまで通り支払われている
⇒一回目の緊急事態宣言最中の5月中旬に日本都市ファンド投資法人のIRにメールし、回答を頂きました。一流の立地に店を構える一流のブランドは流石と思いました。
④コロナショックのおかげで非常に割安な株価となっている。
⇒REITは「NAV価格」が毎年公表されています。NAV価格とは、所有物件の時価の 価格です。簿価基準のPBRより価格への信ぴょう性が高いです。コロナショックのおかげでこの投資法人は、NAV価格の半分程の株価になっていました。これはつまり、この投資法人を本日解散して所有物件を全額売り払って株主に還元すると、理論上株主は株価の2倍の利益を得られることになります。
⑤世界各国でワクチン開発が開始され、前例を見ないほど進捗度が高い
⇒早ければ年内、遅くても来年半ばくらいまでにはコロナ用ワクチン接種が可能になると言う報道がされていました。ワクチン接種さえ完了すれば経済は正常化し、株価もこれまでの水準に戻ると考えました。
これら情報より私は2020年5月に「今の株価であれば日本都市ファンド投資法人株を全力購入しても良い。株価下落のリスクより、株価上昇のリターンの方が圧倒的に高い」と判断し、全力購入しました。
日本都市ファンド投資法人は、今ではコロナショックと遜色ない所まで株価が戻っています。
最後に、投資の神様ウォーレン・バフェットの名言を一つ紹介します
「市場が効率的なら、私は今街頭で物乞いをしているだろう」
長期投資家のバフェットは、短期的視点で見て株価が急落した時こそ長期的視点で見たときの絶好の買い場と判断し、それを最大限に利用することで投資で大成功を収めました。
※プロ機関投資家の弱点②は、次回記載します。。