マーケティング分析による、銘柄選択
「自分が買おうと思っている銘柄は、今後も成長し続けるのか?」を考えるのに、マーケティングのフレームワークを使うのは有効と考えます。
マーケティングフレームワークはいろいろありますが、今日は僕が特に重要だと思う2つのフレームワークを紹介します。
①PEST分析
フィリップ・コトラーが考えた、マクロ状況を体系的に考えるためのフレームワークです。
今期決算は絶好調の企業でもこのフレームワークを基に分析することで、例えば
「政府の社会保障費が減らされると、この会社のビジネスは苦しくなる」
「別会社が新規技術を開発してしまったら、この会社のビジネスは陳腐化する」
「将来若者が減ると、この会社の売上はどんどん減っていく」
「景気悪化で富裕層がダメージを受けるとこの会社の製品は売れなくなる」
のように、多面的に将来起こりうるリスクを洗い出すことができます。
②5Force
マイケル・E・
例えば10億~50億程度の中古オフィスビル売買業界(中古ビル買ってバリューアップして売却)は、以下のように分析できます。
※業界を細かく区分けして分析するのがミソ。
1.新規参入の脅威(低)
⇒大手不動産は10億~50億程度では、収益にならないので参入
してこないだろう。
⇒個人投資家が手を出せるのは、頑張っても数億程度だろう。
⇒「バリューアップすれば高値で再販できる物件を探す目利き力」
は簡単に養えるものではない。
2.買い手の交渉力(低)
⇒ビルの売り先は多くいる。コロナが収束すれば外国人投資家
にも売れる。
⇒希望価格で売れなければ、無理して売らずそのビルの家賃を
受け取る事が可能なので、売り急ぐ必要はなし。
⇒リーマンショック級の大幅な景気悪化でオフィス空き室率が
上がると、買い手が強気に値切ってくると思われる。ただそ
の際は売り手が気弱になっているので、物件を高値掴みして
いなければ問題無し。
3.売り手の交渉力(中)
⇒去年は、コロナでオフィス需要低下を不安視した企業から安値
で大量に買い取った
⇒今後資産インフレで、売り手が強気になり提示価格が上がる可
能性がある。
4.代替品の脅威(中)
⇒自社ではあまりオフィスを構えず、シェアオフィスを使う企業
が増えるかもしれないが、その場合シェアオフィス企業がビル
を買い取るため問題無し
⇒「コロナ収束後もオフィスの代わりに自宅で作業する」は脅威。
只この動きはそれ程広まらず、コロナ収束すれば全員出社が一
般的なパターンになると思う。
⇒「今後の技術革新により、目利き力が陳腐化する」と言うのは
考えにくい。
5.業界内競争(低)
⇒目利き力が必要な事もあり、業界内で競争が激化している印象
は無い。
⇒参入障壁も比較的高く、今後も競争が激化するとはあまり思われ
ない。
結論:
10億~50億程度の中古オフィスビル売買業界は現状収益性も高く、今後も
安定した収益を出していけると思う。
終わりに
如何でしたでしょうか?
マーケティングフレームワークは他に幾つもありますし、今回紹介した2つのフレームワークも実際はもっと奥が深いです。このブログを読んで興味を持った方は、是非マーケティングについて勉強してみてください。
財務会計などを勉強して定量的分析をするのはとても重要ですが、それと同じくらいマーケティング分析等で定性的分析を実施するのは重要だと僕は考えます。
また短期視点の投資家はここまで考えないので、マーケティング分析は彼らに対する大きなアドバンテージになるとも思っています。
長期投資家にとって、「その会社のビジネスを買えるか」と言う観点で考えるのは非常に重要です。ビジネスの優良性が認められれば短期的な株の上下を気にすることなく、どっしりと構えていられますので。